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オリーブオイル市場Blog

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2017年 11月 30日

オリーブオイルを仕事にする②「オリーブオイル業界の本質的な発展とは?」

資本の大きさに関わらずこの業界に関わる人には、とても重要なテーマと思っています。

僕は、このように考えています。
「輸入者や販売者は、確かな目利きと知識の責任の上で、販売ターゲットや価格帯のカテゴリー毎に、最適な品質と価格のバランスの取れたオイルを一過性ではなく継続して流通させ、その利益は消費者と流通者(輸入者・販売者)のためだけではなく、生産者の地位と経済力の向上、持続可能なオリーブ農業の実現のために還元されている状態」と考えています。

わかりづらいですね。
簡単に言い換えると、「輸入者や販売者は、しっかりとオイルの全般的な知識を身につけて、自分の都合や利益だけを考えずに、消費者のことはもちろんですが、特に生産者のことをしっかりと考えて継続してオイルを販売していくことが、この業界の発展につながっていく。」とこんな感じです。

もっと簡単に言うと、「確かな品質のものを、継続して沢山売る」の一言です。

「沢山売る」と言うと、随分とギラギラと商売商売しているねと思う方もいると思いますが、これにはきれい事では済まされない生産現場の現状があるからです。

僕はこの8年間で、もう数えきれないほどのイタリアの生産者に会ってきました。おそらく1000軒以上会ったと思います。その現場では、本当に生活に困っている生産者が涙ながらに買ってくれと訴えて来たり、世界的に有名なトップ生産者にもうやっていけないから農園を買ってくれないか?と相談されたこともありました。

実は、ほとんどのオリーブオイル生産者は、全く食べていけていないのです。

日本ではオリーブオイルをオシャレアイテムのように扱うことが多々ありますが、生産現場ではオシャレとか言ってる場合ではなく、いくらコストをかけて素晴らしいオイルを作っても、偽装オイルの世界的な流通、バイヤーや消費者の品質への認識不足などの様々な問題からオイルの流通価格は上がることはなく、その結果生産者は生産をやめる、又は離農を考えるしか方法がないということが起こっているのが現状です。生活のために、偽装オイルに手を染める生産者もいます。

ごく一部の大企業や貴族の農園などを除き、ほとんどの生産者は本業を持っています。オリーブオイル生産は副業です。先祖から受け継いだ畑や文化を残したいと思う情熱だけでやっている所がほとんどです。

このような現状を沢山見てきて僕は、輸入者(販売者)だからこそ出来ることがあるのではと考えるようになりました。

それで出た答えが、一番初めに書いた「オリーブオイル業界の本質的な発展とは」です。

本質的な発展とは、オリーブオイルに関わるすべての人が幸せになることと思います。

このことをよく理解している会社や関係者は、今後ますます消費者や生産者からも必要とされると思います。

次回からは、継続して販売するために必要な情報を一つずつ書いていこうと思います。


余談ですが、僕は生産現場を知れば知るほど、気安く新規の生産者と取引が出来なくなった部分があります。大げさかもしれないのですが、生産者にとってオイルとは自分の子供のようなものであって、それを僕のような海外の輸入者に託すのは、彼らの思いや歴史、文化を託すようなものであって、それに応えていく責任があると思うからです。少しでも彼らの生活を支えるという責任もあります。

これをビジネスだからともっとドライに考える方法もあると思うのですが、もうそんな時代はとっくに終わっていて、消費者の皆さんはその商品が自分の手元に届くまでのストーリーや生産者と僕の関係を信頼して、購入してくれていると思うのです。次から次へとオイルを乗り換えていくのは、僕的にはできないと思う訳です。

自分もオイルのことを一生懸命勉強して、生産者と真摯に向き合い信頼関係をコツコツと築けていけば、今よりももっと品質を上げて魅力的なオイルを作ることことが出来ると思いますし、その思いはきっとうちのお客さんに伝わると思うのです。

うちのような小さい会社は、生産者と一体となって作り上げていくことこそが、大切かなと思っています。

オリーブオイル市場
松村成師

by primolio | 2017-11-30 16:28 | Lavoro 仕事


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